建築耐震工学
建築構造物の地震に対する安全性を確保することを命題に、建築構造物の地震時応答特性、崩壊特性などを理論的・実験的に解明するとともに、より高度な構造物耐震設計法の確立をめざす。
そのために、構造物や部材の繰返し変形下における破壊や不安定挙動、動的荷重下における完全崩壊までの挙動を解明し、実験と数値解析を融合させたシミュレーション装置による実規模での動的・大変形挙動の再現技術を構築して実挙動を明らかにし、これらの成果を統合して耐震設計法の高度化へ結びつける。
教員
池田 芳樹 (Yoshiki IKEDA)
教授(防災研究所)
研究テーマ
● 耐震・免震・制振(震)構造の高度化
● 建物の動特性評価
● 構造健全性モニタリング
連絡先
宇治キャンパス 本館S棟3階307D号室
TEL: 0774-38-4086
FAX: 0774-38-4334
E-mail: ikeda.yoshiki.6r@kyoto-u.ac.jp
倉田 真宏 ( Masahiro KURATA )
准教授(防災研究所)
研究テーマ
- 鋼構造建物の健全度判定システム
- モデル更新を用いた構造物の損傷検知
- 無線センサ技術とサイバ環境を組み合わせたモニタリングシステム
- 自己損傷検知機能付き構造部材
連絡先
宇治キャンパス 本館S棟3階308D号室
TEL: 0774-38-4084
FAX: 0774-38-4334
E-mail: kurata.masahiro.5ckyoto-u.ac.jp
研究テーマ・開発紹介
構造物が完全に崩壊するまでの過程を追跡する実験と解析
機能保持、損傷制御、安全確保などの多面的な要求に応えうる建物を造るための設計法として「性能設計」の確立が期待されています。
安全を確保するためには、建物がとてつもなく大きな地震を受けたときにどう崩壊するか、建物が完全に崩壊するまでにもつ能力はいくらかを定量化しておかなければなりません。
建物が自重を支えきれなくなる時点を 「完全崩壊」と定義し、この限界を、完全崩壊を模擬する実験や、さまざまな非線形性や形状変化を取り入れた解析によって、定量化しようとする試みです。
図-1 実大鉄骨骨組による崩壊までの載荷実験
低負荷な耐震補強技術とその設計法の提案
耐震性能が充分でない中低層建物について、変形性能や耐力等の向上が必要です。
そこで具体的な目的として、(1)既存骨組の塑性変形能力を支配する部材の負担を低減する、(2)骨組全体の耐力・剛性を向上させ、小変形時からエネルギー消費を開始する、(3)建物の利用計画への影響を抑える、の3点を設定し、耐震補強機構を開発しています。
小型軽量部材とエネルギー消費部材をバランスよく組み合わせて,重機や火器を必要としない耐震補強機構や,数百年後も今と同様に存在しうる技術や材料を利用した歴史的建造物・長寿命建造物の耐震補強法を提案しています。
図-2 低負荷な耐震補強機構の振動台試験
地震で被害を受けた建築物の健全度モニタリング技術の高度化
地震直後の建物の健全度(損傷)診断と評価は、都市地域の被災度の把握、機能の保持、再生計画等にとって重要な課題ですが、現在は専門家による目視点検に依存しています。
被災建物の健全性を即時に評価するために,最先端センシング技術を利用した鋼構造建物の損傷検知手法や無線型健全性評価システム,最大変形を記憶できる多機能な制振部材等を開発しています.
同時に数値解析モデルの更新手法や地震ハザード解析などに取り組み,構造技術者や建物の管理者に“馴染みある” 被災建物の継続利用判定指標の開発を志しています.
図-3 18層鋼骨組振動台実験における無線損傷定量化システムの実証