建築環境計画学

建築、地域を多様なユーザーの心理・行動、関係性の視点から解析・評価し、人間環境系のデザインの構築を探求する

これからの人口減少期において、豊かさを実感できる社会を、持続可能性を保ちながら実現するには、建築、地域のあり方に、効率性や機能性の視点にくわえて、ユーザーの生活の質、すなわち人のwell-beingを向上させるためのデザインや計画が求められます。本講座では、建築、地域、景観を、効率性や機能性、多様なユーザーの心理・行動、関係性の視点から解析・評価し、その成果を、計画、デザイン、実践、政策に活かすこと、すなわち人間環境系の視点にもとづく建築、地域の構築を目指します。

三浦研究室

教員

三浦 研 ( Ken MIURA )

三浦 研教授(工学研究科)

研究テーマ

これからの人口減少期において、豊かさを実感できる社会を、持続可能性を保ちながら実現するには、建築、地域のあり方に、効率性や機能性の視点にくわえて、ユーザーの生活の質、すなわち人のwell-beingを向上させるためのデザインや計画が求められます。本講座では、建築、地域、景観を、効率性や機能性、多様なユーザーの心理・行動、関係性の視点から解析・評価し、その成果を、計画、デザイン、実践、政策に活かすこと、すなわち人間環境系の視点にもとづく建築、地域の構築を目指します。

連絡先

桂キャンパス C2棟 2階204号室
TEL: 075-383-2927
E-mail: miura@archi.kyoto-u.ac.jp

 

安田 渓 ( Kei Yasuda )

安田渓助教(工学研究科)

研究テーマ

私たちは,建築空間における「見る―見られる」関係のような可視性をisovist(可視領域)やVisibility Graph(可視グラフ)を始めとする手法を用いて分析しています。深層学習を用いて内外の曖昧さの記述や,オフィスや介護施設におけるアウェアネスとプライバシーのトレードオフを解決するような可視性能をもつ空間形態の導出を行なっています。

連絡先

桂キャンパス C2棟 2階212号室
TEL: 075-383-2928
E-mail: yasuda@archi.kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

人の行動・認知に基づく建築・地域の分析・評価

人と環境の関わり合いを、行動・認知・生理・関係性の観点から解き明かすことで、その成果を具体的な建築・地域にフィードバックし、人のwell-beingの実現に向けた研究・実践に取り組みます。特に、ウェアラブルデバイス等の急速な発展は、これまで実験室以外では測定が困難だった生理・心理的な指標の計測を実空間や仮想空間で可能にしつつあります。新しい技術を、人と環境の相互浸透的関係の解明に積極的に応用することで、人間環境系の視点に基づく建築、地域、都市の分析・評価を目指します。

図1
表情認識技術に基づく居合わせ場面の評価例

医療福祉環境デザイン

子ども、患者、高齢者、障がい者など、環境に一定の配慮を必要とするユーザーにとって、適切な物理的環境やその仕組みのデザインはそこでの行動、健康、意識に大きな意味を持ちます。医療福祉環境を対象として、生命力を萎ませない建築や環境のあり方について、環境―行動の解析に基づく研究と実践に取り組みます。特に、今後、持続可能な社会保障を実現するには、働く側の効率性や負担感の軽減に向けた、新しい生活支援技術や効果的な互助の仕組みと建築のデザインや計画の融合が求められています。社会が求める課題に取り組み、その成果を住宅、地域、まちづくりに活かす研究と実践に取り組みます。

図2
認知症高齢者の分かりやすさに配慮したグループホームの事例

高齢期の地域継続居住に向けたコミュニティ・エンパワーメント

長らく住み続けてきた自宅を中心とした徒歩圏の地域で、可能な限り健康で自立した生活を継続して送っていくことを多くの高齢者は望んでいます。人口増加時期に拡大した都市・地域、数多く建設された住宅や施設は、当時人口の中心であった元気に活動・移動できるこれより若い世代をその利用者の大半と想定してきました。これを大きく転換させ、さらに、人が減り、元気をなくしがちなコミュニティをエンパワーする場や空間、建築・施設を創造するため、高齢者の行動や心理、嗜好や認知の傾向などを知り、一方で高齢者自身もまちづくりや施設の計画・運営の主体として力を得るようなあり方を考える研究・活動を進めています。

図3
小学校区における店舗・地域施設の利用と旧行政庁舎の地域利用に向けた用途の抽出
-京都市伏見区藤森学区の旧水道局ビルを事例として-2015年度卒業論文(中西哲平君)から

大学キャンパスでの障害者差別解消に向けた合理的配慮の研究・支援

公共建築を中心に建築物単体では、障害者、高齢者を中心とした移動困難者への対策は少しずつ進んでいます。一方、こうした建築群をつなぐ市街地空間やオープンスペースの整備はまだ十分ではありません。これに加え、大学では、講義室や実験室などの位置表示・検索、各室のしつらえ、さらには授業や研究内容などの情報保障の観点からも、まだまだ進めないといけないことは数多く残されています。こうしたバリアのひとつひとつをどのようになくし、そして障害をもつ学生が、より多くの学生たちと等しく学生生活を送ることを可能とするための合理的配慮や、施設計画・運営のあり方を考える研究・活動を進めています。

関係性のデザインとしての街並み景観に関する研究

近代以降、人々にとって意味の豊かな生活を育むことが難しくなってきました。環境は本来、生活や文化と結びついて、地域の固有性とともに、人や環境とを少しずつ関係付けてデザインされるべきものです。街並み景観は、その背後にある文化、経済、生活といった意味の「現れ」として捉えることができます。伝統的な街並み景観では、様々な事物間や人と環境とが長い時間をかけて関係付けられ、巧みな関係性のデザインがなされています。このような関係性のデザインとしての街並み景観に着目し、新たな環境(建築・都市)のデザインのあり方を研究しています。

図5
関係性のデザインを分析するための街並みデータベースのグラフィックインターフェース